原油価格の急騰が話題となっています。
これは、物流コストの上昇となり、やがては商品価格へ影響します。
そして、原油価格の上昇はやがては、3〜4ヶ月後の電気代、ガス代の上昇に繋がり、これは厳しい夏の電力需要が高まる時期と重なるため、この夏からイラン攻撃の影響が際立つことになると予想できます。
企業としては、夏までに対策を立てておかないと大幅なコスト増になり、それはさらなる物価高を招くことになります。
半世紀ぶりのスタグフレーションか?
そしてこれは、景気は停滞しているのに物価だけが上昇するスタグフレーションを招くことにもなりかねません。
なお、日本は現在、国民がすでに物価高と実質賃金の低下で苦しんでいる状況にあるため、この状況を捉えて、「日本はすでにスタグフレーションに陥っている。」と指摘する一部の論者やメディアもあります。
高齢者問題も年々大きくなっており、社会保障制度に対する問題や不安はこの先数十年間は消えません。
いま私たちがもっとも警戒すべきは、こういった問題や不透明さの先にある『スタグフレーション』かもしれません。
スタグフレーションと認識された場合、日本は経験したことのないような物価高や深刻な不況に陥る可能性が高いでしょう。
企業は売上を上げることができたとしても、それ以上のコスト増で利益が消えてしまえば、どれだけ頑張って走っても、足元の地面(通貨価値・コスト)がそれ以上の速さで後ろに流れていく絶望感を味わうことになります。
半世紀前のスタグフレーションは
日本が過去にスタグフレーションを経験したのは、1970年代のオイルショック後で、実に半世紀ぶりとなります。
当時、原油の供給逼迫と価格高騰により、物価が急激に上昇。同時に、原油価格の高騰は企業の生産コストを押し上げ、景気を後退させました。日本では、1974年に消費者物価指数が年間で21.9%上昇し、経済成長がマイナスとなるという、スタグフレーションそのものの状況に直面しました。
半世紀ぶり、ということもあり、現役世代はスタグフレーションの恐ろしさを知りません。
スタグフレーションは、私たち一人ひとりの生活に直接的な影響を及ぼすため、その「怖さ」を理解することは、現在の経済状況を読み解き、対応を考える上で非常に重要です。
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不透明な時代に急がれる戦略
デフレが長らく続いた日本では、多くの企業がコスト削減を主軸とした経営を行ってきましたが、半世紀ぶりのスタグフレーション下では、これまでのデフレ時代の経営戦略は通用しません。
企業は、単なるコスト削減ではなく、生産性の向上や付加価値の高い商品・サービスの開発、ブランディングの強化など、より積極的な経営戦略が求められます。
しかしながら、新商品開発は時間やコストもかかるため、生産性を落とさない、向上させることに当面気を配る必要があります。
日本においては、すでに2019年から4年間でIT産業の労働生産性が13%低下したとの発表もあり、これは主要7カ国(G7)の中で最も大きな下落率です。
この背景には、日本特有のビジネスモデルやIT投資の遅れが指摘されています。
スタグフレーション下では、企業は「コスト増加と景気低迷による売上減少」という二重の課題で利益は減少し、家計は「収入が減り支出は増える」という課題に直面します。
企業の経営の舵取りが、家計に直結してくるのです。
もし、ボーナスなどがダウンすると、従業員は家計不安から仕事への集中力に影響し、これが生産性ダウンや離職率にも直結してしまいます。
このような厳しい状況を乗り越えるためには、企業側は従来のビジネスモデルを見直し、変化に適応する能力が不可欠です。
ビジネスモデルの変革
スタグフレーションは、既存のビジネスモデル自体を見直す必要性があり機会でもあります。
① 内製・外製の見直し:
自社での生産と外部委託のバランスを最適化し、コスト効率と柔軟性を高めます。
② 顧客代行モデル:
顧客が抱える課題を解決するサービスを提供し、新たな収益源を確保する。
③ DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進:
デジタル技術を活用して業務効率を向上させ、新しいビジネスモデルを構築する。
④ 生産性の向上:
企業自身が付加価値を生み出す力を高めることで、売上と利益の増加を目指す。
スタグフレーションになると、厳しい経済状況を招きますが、変化を恐れず、戦略的に対応することで企業は生き残り、成長の機会を見出すことができます。
しかしながら、こういったビジネスモデルの改変は、企業全体が一丸となった意識改革も必要であり、従業員のITスキルが何よりも求められます。
企業と家計を直撃する「2029年問題」も迫っており、外ではスタグフレーション、内では2029年のIT格差による組織崩壊。この『内憂外患』を突破する唯一の手段が、ITスキルによる徹底的な合理化と付加価値の創造です。
では、このコスト増を吸収する『圧倒的な生産性』をどう手に入れるのか?次回、共通テスト世代の台頭(2029年問題)と、その力を引き出す『共通言語』について解説します。
★アーカイブは下記からどうぞ。
第1回:初任給だけでは勝てない。中小企業を襲う『2029年IT人材争奪戦』の正体
第2回:若手が辞める本当の理由は、給与ではなく『石器時代のIT環境』
ファイナンシャルプランナー・IT講師
川淵ゆかり
厚生労働省 1級FP技能士
経済産業省 高度情報処理技術者
https://yukarik-fp.jimdofree.com/
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